今回は「居心地の良い空間」とはどのような空間なのか?について、住宅インテリアアドバイザーとして、一人の人間としてどう捉えているのか皆さんと共有したいと思います。インテリア目線・住空間としての機能目線で、普段私がインテリアコーディネートをするとき、どんなポイントを持っているのかお話しできればと思います。
居心地の良い空間とは?
インテリアコーディネートにおいて”居心地の良い空間”は頻繁にテーマになります。
それだけ、人々が”居心地の良い空間”を求めているという意味ですし、実現している人も多くないといったことが言えます。
私が考える”居心地の良い空間”は以下の3つのポイントが満たされているかという観点です。
・必要な広さ(余白)が確保されているか
・生活動線を意識した「配置」「収納」
・好みのテイストのインテリアコーディネート
インテリアコーディネートのお話は、他の記事や動画でご紹介させているので、今回は前半の2つのポイントについて、深掘りしてお伝えできればと思います。
必要な広さ(余白)が確保されているか
みなさん「社会距離」という言葉を知っているでしょうか。
これは職場などで用いられる人と人の適切な距離と言われており、それは「120~360cm」と定義されています。
・一人暮らしであれば「来客との距離」
・家族とあれば自分の時間を確保したい場合の距離
これらが住宅で用いられる「社会距離」の考え方だと私は考えます。「家具の配置」や「間取り」を選ぶときに必要な広さ、つまり個人間の距離が確保することができるのか確かめてみると良いでしょう。
生活動線を意識した「配置」「収納」
”居心地の良い空間”とは言い換えると「生活しやすい空間」と言えます。
帰宅動線・家事動線を考えた時に常に
「遠回りしないといけない」「取り出すのが手間」など感じていると小さなストレスが溜まってしまいます。
後述でポイントをご紹介しますが、”居心地の良い空間”を実現するには生活動線を意識した「家具・収納の配置」を徹底することが大切です。
余白を作る
”余白”はインテリア目線と住空間目線の両方で重要になってくるキーワードです。おしゃれで居心地の良い空間を作るためには以下の点を覚えておきましょう。
床がどの程度見えているか
「大きさソファ」「大きなテレビ」に憧れている方も多いのではないでしょうか?
どちらもあると便利でその点だけ見ると満足するでしょう。しかし、どちらも床を見えにくくさせる要素になります。
一つの目安として以下の点がポイントとなります。
”家具の占有面積は1/3”
その部屋の面積に対して、家具の面積が1/3程度であれば比較的スッキリした印象となります。
他方、10畳以下のLDKや寝室では、どうしても家具が占める割合が増えて、この法則は通用しません。その場合にはも、床がどの程度見えているのか確認しながら家具の大きさを選ぶと良いでしょう。
壁の余白は8割程度から
もう一つ観点として壁の余白が重要になります。
床の余白を考慮していても、背の高い家具ばかりでは圧迫感が出て良いレイアウトにはなりません。以下の事例のように全ての壁を見せるわけではなく、モノを飾りながら予約を作っていきましょう。
〜壁全てを見せるわけでなくシェルフを配置〜
〜狭い壁には小柄の時計を飾る〜
〜間抜けする壁にはもモノを飾る〜
団欒とプライベートのバランス
一人暮らしでも家族と一緒に住んでいても、プライバシーは居心地に影響してきます。
重要となるのが「家族同士の距離」と「一人用のスペース」です。
リビングでは家族同士の距離を意識する
リビングは「家族と集うスペース」であったり、「来客と過ごすスペース」であったり多用途で使うことが多いスペースです。皆で集まる時間は距離が近くても問題ないでしょう。
しかし、リビングは休日長い時間を過ごして家族おのおの異なることに時間を使うこともあります。プライバシーが確保された距離が確保されれば、「家族みんな寝室で過ごす」といった生活スタイルになりにくいでしょう。
そのために意識するのが「社会的距離」です。前述の通りそれは「120~360cm」と言われています。そこまで厳密に把握する必要はありませんが、リビングの中でも家族がおのおの別のことに取り組んでいても差し障りのないよう、チェアやソファーを配置すると良いでしょう。
一人用のスペースを用意する
”家に一人になれる空間があればな”
こう考えている方も多いのでは?
住宅において一人のスペースを用意することは意外に簡単にできます。
例えば、以下のようなパターンもオススメ。
・シングルソファを組み合わせた配置
・窓辺や寝室にチェア・作業スペースを設ける
完全個室でなくてもこのようなパターンである程度のプライバシーを確保した一人の空間を用意することができます。
自然光と間接照明
光はインテリアにとって重要です。
私はよくそれをスパイスのようなモノだと表現します。どんなに「良い家具」「十分な広さの住宅」があったとしても、その場所に光がないと居心地は良くなりません。
自然光を感じられるインテリアの配置
インテリアにとって自然光は、「最高に映える場所」を作ります。
例えば、
・窓辺に植物を配置する
・リビングに高窓を配置する
自然光は室内に入り込み、モノに当たることによって「陰影」を作り出します。こうやって立体感を感じられることで、植物・オブジェ・家具はとても美しく映えます。
是非、自然光が入り込む場所で、ディスプレイを楽しんでみてはいかがでしょうか?
夜間は間接照明を取り入れる
夜間は昼間と異なり自然光がないってこない時間帯となります。
我が家ではリビングは比較的自然光が入ってこない時間帯が多いので、昼間でも間接照明を使っています。
間接照明とは「直接照明」と区別して使われる言葉になります。ペンダントライト・ダウンライトとは異なり、「壁・天井などに光を反射させて使う照明」となります。
間接照明は”優しい光”であることが特徴です。インテリア映えするだけではなく、普段の疲れを癒してくれるような効果も期待できます。
充実した配線計画
皆さんの生活で、「片時も肌から離さず持ち歩いているモノは?」
そう聞かれた、ほとんどの人がスマートフォンと答えるのではないでしょうか。家の中で長く過ごす上では、電源問題というのは居心地に大きく影響します。
まずは、以下の観点を確かめてみることをオススメします。
コンセントの配置を再確認
まずは大原則として、コンセントの数はおおよそ、
”2畳あたり1個(2口)”
と言われています。まずはこの数を満たしているのか確認してみましょう。なので、6畳では3箇所、8畳では4箇所というのが目やすいになります。
しかし、コンセントは多ければ良いというモノではありません。
「使いたい場所にコンセントがあるのか?」
この点がとても重要になります。今回は居心地良い空間がテーマですので、以下の観点でコンセントの配置をチェックしてみましょう。
・作業場所にコンセントがあるか?
・長時間いる場所にコンセントがあるか?
ワークスペース周辺のコンセント
ワークスペースが自宅にある場合には、PCやシュレッター、Wi-Fi機器などの電源確保が大切になります。オススメとしては卓上に配線を通す穴がついているようなデスクです。このようなデスクでは、配線を卓上に持ってきた場合にスッキリさせることができます。
〜おすすめのデスク〜
こちらのプロダクトは”THE TABLE / ラバーウッド ナチュラル × Black Steel 配線トレー付き”とうKANADEMONOというインテリア通販サイトのプロダクトです。配線穴がありながらテーブルサイズをオーダーできるオススメのプロダクトです。
また、スマホや時計など充電する機器が多い場合には、卓上にコンセントやUSB端子が必要な場合があります。そのような場合にはこちらのような、電源を拡張できるようなモニタースタンドもオススメ。
ポータブル電源という選択肢がある
「ポータブル電源は外出先で使うモノ」
そういったイメージがあるのではないでしょうか?我が家ではポータブル電源を室内で日常使いしています。
・軽くて持ち運びに便利
・スマホスタンドにもなる
ポータブル電源を室内で使うことで、配線なしのスッキリした充電ができます。
植物のある暮らし
観葉植物は皆さんお持ちでしょうか?観葉植物には、
・視覚的な癒しの効果
・空気の浄化
・精神的にもプラスのマインド効果
などなどがあると言われています。私の体感としても、物を育てることは「リラックス」「愛着心」「水やりなどのルーティンによる心の安定」などの効果を感じられています。
サイズ感のメリハリ
心の癒しを提供してくれる観葉植物ですが、よりオシャレに飾るためのポイントを共有したいと思います。一つ目の観点としては、「サイズ感」です。失敗しやすいインテリアの一つが微妙なサイズ感のアイテムを集めてしまうこと。
オススメとしては、部屋の中心的存在となるようなシンボルツリーとなる大柄の観葉植物を一つ用意すること。小さな観葉植物だけを飾るよりも、より部屋にボタニカルな雰囲気を作ることができます。
〜シンボルツリーのようなサイズ〜
シンボルツリーを用意したら、あとは卓上サイズ・ハンギング・背の低い広がるタイプの植物を配置していきましょう。飾る量は部屋の広さや好みに合わせると良いでしょう。
観葉植物を飾るアイディア
〜卓上サイズ〜
卓上サイズの観葉植物は100円ショップでも手に入り入手しやすいのがポイント。
窓辺の額縁など奥行きが浅い場所にも飾ることもできます。
また、ワークスペースなど大きな観葉植物が配置できない場所に置くのもオススメです。
〜ハンギング〜
ハンギングはその名の通り「吊るす配置」を意味します。
植物を高い位置から垂れていることで、「視線を逃す効果」や高い位置にも植物を配置できるので、「より多くの植物を飾れる」などの効果もあります。
配置のポイントとしては、ハンギングは単体では様にならないことが多いので、
・いくつかハンギングをまとめて飾る
・オブジェなどと一緒に飾る
単体で飾らないようにするのがオシャレに飾るポイントです。
〜背の低い広がるタイプ〜
こちらはモンステラの写真ですが、横にひりがっているのが特徴です。
部屋にシンボルツリーを飾ったらあとは、形状の異なる植物を飾ることでメリハリのある印象となります。その一例として以下のような横への広がりの大きな植物もオススメです。
収納の一番地を意識する
収納はインテリアや住空間の話しと切っては離せないテーマになります。居心地の良さと関連してくる観点としては、主に「使いたい時に、使いたい物がある」ことが重要です。
収納の奥行き・高さ
使いやすい収納のポイントとしては、まずは収納の奥行きです。
使用頻度の高いモノが収納の奥にあり取り出しにくいと生活でのストレスが大きくなってしまいます。
〜ボックス収納〜
奥行きのある収納には奥行きのあるボックス収納や引き出しを活用して奥にある物を取り出しやすくすることがオススメです。これは冷蔵庫などでも同じで奥行きのあるトレーを活用することで奥行きを最大限に活かした収納ができます。
〜使用頻度が高いものは手前に収納〜
上記のボックス収納が採用しにくような場所では、使用頻度の高い物を手前に収納するようにしましょう。そして、奥に行くにつれて利用する頻度が低くなるように物を配置してみましょう。そうすることによって、より使いやすい収納を作ることができます。
〜目線から膝の高さ〜
目線から膝の高さは収納においては、一番地と言えます。それぐらいの高さは最も物を取り出しやすくなります。逆に踏み台が必要な高い位置には使用頻度の低い物や季節性のある物を収納しましょう。膝より低い位置には、重量があるものなどしまうと良いでしょう。
モノを置くスペースを設ける
「読みかけの雑誌・飲みかけのグラス」
生活をしていると「物を置く」という動作が思いのほか頻発します。なので、物を置くスペースがないと意外に生活でのストレスを感じることになるでしょう。
サイドテーブルを活用する
サイドテーブルはインテリアのアイテムとしては、レギュラー中のレギュラーです。
オシャレな住宅には必ずあるアイテムだと言えるでしょう。
〜ソファ横〜
ソファー横のサイドテーブルは定番と言えます。センターテーブルよりはスペースを取らずに設置できる点もポイント。ソファでは食事をしない家庭ではセンターテーブルよりもセンターテーブルがオススメです。
〜ベッドサイド〜
ベッドサイドにもサイドテーブルはマッチします。ホテルではベッド横のサイドテーブルにアラームや照明が配置されていますが、一般家庭ではスマホスタンド・間接照明を配置すると、より便利でオシャレなベッドルームを演出できるのでオススメです。
スツールを活用する
天板が平らなスツールの場合には、「座る・置く」の両方の用途で活用することができます。多用途で使える家具は特に都会の狭小住宅でオススメなアイテムです。
〜玄関〜
玄関は意外に物を置きたくなるスペースです。
帰宅時にカバンを置いたり、エコバックを置いたりと、小さくても良いのでサイドテーブルがあると便利さを感じるでしょう。
またインテリア目線でも、スツールやサイドテーブルがあると殺風景な玄関にアクセントが加わります。
〜クローゼット〜
クローゼットにおいても靴下を履く、バックに物を詰めるなど、スツールがあると便利に感じるシチュエーションがあります。クローゼットは決して広くないスペースなのでコンパクトなスツールを配置すると良いでしょう。
段差を作って物を置く
物を置くスペースがない場合には、段差を作る手段がオススメ。スペースを有効活用することができますし、物を飾るスペースを作ることもできます。
〜DRAW A lINE〜
メイドインジャパンの革新的なインテリアアイテムです。従来の突っ張り棒の概念を覆すプロダクトとして注目を浴びている商品。
物を「置く」「掛ける」場所を提供してくれます。質感もマットで生活感・安っぽさがない点もオススメのポイント
〜山崎実業(Yamazaki) キッチンスチール コの字ラック 〜
こちらはtowerシリーズのラックです。シンプルでミニマルなデザインが特徴。
キッチンや卓上に物を置くスペースを作りたい場合にオススメのアイテム。
生活動線の良い空間
生活動線は居心地の良い空間に直結する観点です。
以下は特に私が住宅を購入する際に意識したポイントになります。
帰宅動線が良い空間とは?
帰宅動線が良いとはどういったことをイメージするでしょうか?ポイントとしては以下の点が挙げられます。
・玄関間口の広さ
・カバンの置き場所
・キッチンの近さ
〜玄関間口の広さ〜
例えば人が一人で靴を脱ぎ履きするには45〜60cm程度の横幅が必要となります。家族がいれば玄関間口は最低でも2人分あった方が良いでしょう。マンションなどではなかなか確保できない間口となりますが、オススメは135cm程度です。これぐらいあれば、2人同時に帰宅した際にも苦になりません。
一人暮らしの方もそうですが、玄関に靴が脱ぎっぱなしで有効なスペースが狭くなるパターン。これも居心地の良い空間というふうには言えません。
〜カバンの置き場所〜
皆さん、帰宅してからリュックやカバンをどこに収納しているでしょうか?
「リビングの机の上、ソファの上」と答える方も多いのでは?
カバンの定位置を決めておかないと見た目としても雑な印象となりますし生活動線としてもイマイチと言えるでしょう。
例えば、
”リビングに省スペースで良いのでカバンの置き場を作る”
”帰宅したらすぐに寝室のクローゼットに置く”
定位置を決めることで生活動線も一気に改善されます。
〜キッチンの近さ〜
玄関からキッチンの近さは帰宅動線において重要です。重たい荷物を持って帰宅した時にキッチンが遠いと地味にストレスを感じます。例えば2階リビングの場合にも可能であれば、「同線の良い位置」「扉を開ける回数が少ない位置」に冷蔵庫やパントリーがあると良いでしょう。
家事導線を意識した収納
家事導線意識した収納も居心地の良い空間作りには大切な観点です。
例えば以下のようなアイディアが挙げられます。
〜掃除用品は複数箇所に収納〜
例えば家の以下箇所に掃除機やゴミ袋がなど生活用品が集約していると効率的な収納になるかもしれませんが、使い勝手はイマイチです。
我が家では、使う場所の近くに清掃用品を収納するように心がけています。
例えば、以下のようなアイディアが挙げれれます。
・トイレの清掃用品は1・2階それぞれに配置する
・窓清掃用の洗剤も住宅の複数箇所に配置する
〜パントリー&冷蔵庫〜
パントリーと冷蔵庫はどちらも食料品を収納する場所です。この二つが近いと買い物帰りに食料を収納する際に効率的になるでしょう。
〜洗濯機&クローゼット〜
洗濯物を畳んだ後にクローゼットに服を運ぶ。
こういった作業を考えた時には、
・家族の洗濯物を一旦置く場所を用意する
・ファミリークローゼットを近くに配置する
などすることによって家事導線はスムーズになります。
居場所が複数ある
最後の観点としては”居場所”です。
リビング・ダイニング・寝室など皆さんはどこで過ごすことが多いでしょうか?
住宅の中に複数のお気に入りの場所があると生活は一変します。場所を変えて時間を過ごすことにより、気分転換もできますし居心地にも良い影響があるでしょう。
例えば、以下のようなアイディアはいかがでしょうか?
ラウンジチェアを取り入れる
ラウンジチェアとは、主に傾斜のある背もたれが特徴の1人掛けの椅子を意味します。
例えばリビングスペースを埋め尽くすようなソファを配置するパターンから、少し小ぶりなソファとラウンジチェアを組み合わせる。
ラウンジチェアは配置の自由度が高く時には窓辺に置いてみたりなど、場所を変えて気分て感することができるでしょう。
スツールを活用
スツールも居場所を作るアイテムとしてはオススメ。
移動しやすい利点を活かして、
・寝室の片隅
・窓辺
・廊下
などいろんな場所に配置しても様になります。場所を変えて読書を楽しんだりして過ごしてみると、いつもとは異なる景色が見えたり感情をいただくきっかけになるのではないでしょうか。
〜まとめ〜
今回は”居心地の良い空間”をテーマにインテリア目線でのポイントを10選ご紹介させていただきました。”居心地の良い空間”を作るためには、なるべく「便利でストレスを感じない間取り・収納」や「居場所作り」という点を大切にする必要があるでしょう。
インテリアはついつい見た目重視になってしまいますが、今回の観点を参考に、より”居心地の良い空間”を目指してインテリコーディネートを改めて見直してみてはいかがでしょうか。